青影山&仙酔島 〜ゲッ!山火事だぁ!〜


 

【広島市福山市&因島市 平成14年11月16日(土)】
 
 この季節、穏やかな瀬戸の島でマッタリするのがいいんです。
 そのつもりで山歩きの本を見ていると、ありました。興味を引く山が。「青影山」、場所は東ちづるとポルノグラフィティで全国区となった因島です。
 むかし「仮面の忍者、赤影」という番組がありましたよね。主人公はハンサム系の赤影ですが、サブキャラクターとしてオジサン忍者の白影と少年忍者の青影とがいて、なかなかいい味を出していたと記憶しています。
 そんな小学校低学年の頃の記憶をたぐりつつ、今日はこの山に決定。
 標高は300mたらず。寄り道しながらゆっくり登っても1時間です。でもこれだけではせっかく遠出するのにもったいないので、プラス・ワン。某氏のHPで野歩き記録を読むと、ちょうど今頃、鞆の浦(福山市)沖にある仙酔島にツメレンゲが咲いているとありました。
 そこで、まず仙酔島に渡って散策して、戻ってから鞆の浦で名物の鯛飯を食って、それからしまなみ海道を通って因島の青影山に登る、という盛りだくさんなスケジュールを立てたのでした。

                  


 鞆の浦の駐車場に車を入れたのが10時過ぎ。小春日和というには暖かすぎる気候です。風がほとんど無かったからでしょうか。
 市営渡船乗り場に行くと、おばちゃんが孫娘とサヨリを開いていました。干物にするのだそうです。周りには健康的な毛色の野良猫が4、5匹、おこぼれにあずかろうとじっと待っています。
 そんなこんなで渡船がやってきました。20分に1便のペースで運行しています。

 渡船「第二べんてん」

 乗っている時間がせいぜい5分くらい。あっという間に着きました。桟橋から島の南海岸沿いに作られている遊歩道を歩きます。暖かい日差しを浴びながら気持ちのいい散策になりました。

 こんな景色でマッタリ
 したかったんです

 途中、女子大生とおぼしき50人くらいの集団に遭遇しました。どうやらこの島の地質について勉強しているようです。
 遊歩道に設置されている解説板によると、この島は流紋岩質凝灰岩によってできているとのこと。凝灰岩は堆積岩の一種で、主に火山噴出物が堆積し固まってできた岩です。流紋岩質なのでシリカなどガラス質が多く含まれているのでしょう。この島の岩は、中生代(恐竜の時代)後期、火山活動が比較的穏やかになったときにできた湖沼に火山灰などが積もってできたと考えられているようです。

 ハマナデシコの根生葉

 遊歩道沿いの岸壁にはハマナデシコのドライフラワーが。青々とした根生葉もあちこちにありました。テカテカとして肉厚で、なんかウマそうです。

 ツメレンゲ

 ありました、ツメレンゲ。高さ10pほどで可愛いこと。一足早い白いクリスマスツリーのようです。
 ツリーといえば話は違いますが、ここ数年クリスマスデコレーション(通行人向けに披露しているアレです。)はどんどんエスカレートしてきていますね。うちはクリスマスをこんなに楽しんでいるんですよということなのかな。街道沿いのホテル見ないなやつは苦笑ものですが、ときどさきセンスのある洒落た飾り付けの家もありますね。
 yamanekoは子供の頃、教会の日曜学校に毎週通って聖書の説話を聞いたり讃美歌を歌ったりしていました。クリスマスにはお楽しみ会みたいなのもあって、色紙などで飾り付けをしたことを思い出します。遠い昔の記憶です。

 製塩所

 ゆっくりゆっくり歩いて1時間。彦浦という浜辺に製塩所があったので寄ってみることに。施設の横で畑仕事をしていたイチローが年を重ねたような感じの男性が、ここで一人で作っておられるとのこと。室内に製塩の過程を解説したパネルもいくつか掲げてあるところをみると、一般にも公開しているのかもしれません。

 塩水を何回も煮詰めて
 濃縮していきます

 話好きな方で、製法の解説をはじめとして、この周りの植物、鳥などに至るまでいろんな話を聞きました。

 「激しょっぱ」のニガリ入り塩

 鞆の浦にもどってようやく昼食。楽しみにしていた鯛飯を胃の腑に納めて至福のひとときです。

                  


 さあ、次は因島に渡って、本日のメイン「青影山」へ。
 しまなみ海道を通って因島北インターで下ります。いったん海沿いの道に出てから田熊町というところで山に向かって車を走らせました。瀬戸の島はミカン栽培のためたいてい山の中腹に道路が走っているので、そこまで車を乗り入れてから登山開始です。

 離合も難しいような狭い道を登っていき、そろそろどっかに駐車場所を探さなければと徐行していると、前からおばさんが小走りにやって来ました。ちょうどいい。
 「すみません。青影山に登りたいんですが、どっか車停めるところないですか?」
 「登るってアンタ、今、火事じゃゆうていいよるんよ、青影が。サイレン聞かんかった?」
 「ヘッ?火事?」
 「ちょっと様子みてからにしんさい。ボヤくらいかもしれんし。」
 「ハァ…、そうですね。」
 耳を澄ますとふもとのほうから消防車の音が近づいてきます。こりゃ、ホントだ。

 青影山(左)と山火事

 消防車が3台とパトカーが2台、下の町から上がってきて、その後を追うようにして消防団のおじさんがカブにまたがり駆け上がってきました。
 ちょうど登山口の辺りです。こうなるともう山登りどころではありません。近所の人も三々五々集まってきて心配げに話をしています。あーあ、静かな島の時ならぬ騒動に自分の間の悪さを思い知らされました。

 ウゥー、カンカンカン


 結局この顛末がどうなったのかは確認していません。大事に至らなかったことを祈るのみです。
 青景山からの瀬戸の夕焼けはまた次の機会にとっておくことにしました。